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祖父のマッチ箱

大掃除で出てきた、祖父が生前に収集したマッチ箱が入った小さな箱。
久しぶりに開けて、全部並べてみる…やっぱりたまらない。
いつ見ても、私の心を刺激してくれるマッチ箱。

小さな島に暮らしていた祖父は、旅行好きだった。
そして、大の収集家でもあった。
棚の中には、旅行先で見つけた掛け軸や抱き人形、こけし…
同じようなものがどんどん増えていって、ぎゅうぎゅう積み重なってしまわれていた。
マッチ箱もそのうちのひとつ。
喫茶店に入っては、使わないのに必ずマッチを貰って帰るのが楽しみだったらしい。
 
そのマッチを、祖父が亡くなったあと祖母に頼んで私がいただいた。
祖母は、「こんなものが嬉しいんかね?」 と不思議がっていたが、
高校生だったあの頃、初めて見せてもらったたくさんのマッチ箱に、ドキドキした。
それから、いつ見ても変わらずドキドキさせてくれる祖父が集めたマッチ箱。

よく見てみると…
狙っているのかなんなのか、絶妙な空間の使い方や、ネーミングセンス。
クスッと笑ってしまうようなコピーが、新鮮すぎる。
 
中には、「当店のマッチは只今製作中です」とわざわざ書いたマッチまで。
今でいうショップカードのようなものだったのか?
絶対になくてはならないものだったんだなと、初めてマッチに重みを感じたりする。

少しだけ別格にしまわれていた、EXPO’70の東大寺七重の塔が書かれたマッチ箱は
誰かにもらったのか、大阪万博に行ったのかは謎。

横薬をみると、殆ど使われていないマッチたち。
湿気てしまったのか、火がつかないものばかりだけど、
これをみると、祖父が嬉しそうな顔で、ひとつ、またひとつと集めてきたものを大事に棚にしまっていく姿を思い出す。
 
そういえば、私も収集癖がある。
お皿に木彫りの動物にシールに切手…
きっと祖父の血を引いているんだな。 なんだか嬉しい♪
今はマッチを置いている喫茶店は少なくなっているかもしれないけど、私も祖父に続けてマッチ集めを始めよう。

 
staff17_nagata

(ナガタ)