たまに通る場所から見える、ちょっと気になる道。
山のほうへ続く、アスファルトの高架。
越えた先には何があるのだろう?
残暑の、まだ日差しの強い休日。
思い立って、自転車を走らせて。
アーチ型の高架を山の方へ越えた向こうに
古めかしい神社がありました。
木陰に自転車を停め、手を清めて、
本殿で手を合わせてから、
広い敷地をそっと見せてもらいます。
自分以外に誰もいない、時間が止まったような場所。
苔むした、石の階段と、落ち葉の積もった屋根。
朽ちた切り株。
色あせた朱塗りの柱。
ここで、どれくらい、どんな時間が過ぎたのだろう。
思いを馳せながら、しばらくの間、暑さを忘れて散策しました。
そして、蝉の声が耳に戻ってきて、神社を後に。
行きにも渡ったアスファルトの橋の上からは
向こうの方に自分の住む街が見えました。
こんなふうな、身近な知らない場所が、
きっとまだまだあるんだろうな。
日常と非日常の狭間のような、ささやかな冒険に
迷い込んでみるのも、たまには楽しい。
そんなことを考えながら帰路についた、ある夏の休日でした。
(タニグチ)